世界約70か国で進む中国の一帯一路プロジェクト。空港など各国の国の要所に、大きくプロパガンダを張る中国政府(マレーシアのクアラルンプール国際空港、筆者撮影。2019年2月)

 「(私の右肩が)いつでも風や雨からあなたを守り、(私の左肩も)あなたの支えになり続けるから、困難な山々を手を携えて乗り越えましょう!」

 2月5日の春節を目前に、中国政府がこう歌った友好国ソングを公表した。

 その友好相手国とはマレーシア。

 この歌は、今年が両国の国交45周年記念にあたり、中国政府が永遠の友好関係を切望して作ったという。

 言い換えれば、こんな陳腐なラブソングを作らざる得ないほど、両国関係において中国は切羽詰まった状況に置かれているといえるだろう。

 5年前の5月31日、中国・北京の天安門広場に面した人民大会堂では、「マレーシア・中国国交樹立40周年記念式典」が行われた。両国を代表して、マレーシアは親中のナジブ首相(当時)、中国は李克強首相が出席、両国は蜜月だった。

 それを象徴するかのように、式典にはマレーシア華人商工会などの経済団体代表約300人の大経済ミッションがナジブ首相に随行。

 さらに、生ドリアン輸入は禁止されているが、ナジブ首相からの大量のドリアン土産を中国政府はあっさりと「特例許可」、ドリアン外交が炸裂した。

(参考記事:http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52186「中国がドリアン爆買い マレーシア属国化への序章」)

 しかし、あれから5年。事態は急変した。

 不正や腐敗政治の一掃とその関連で中国主導の一帯一路の大型プロジェクト見直しを掲げたマハティール政権が昨年5月に誕生。「新植民地主義は受け入れない」と習近平国家主席や李首相に大型プロジェクトの延期や中止を次々に表明してきた。