「はやぶさ2」搭載の衝突装置(SCI)の切り離しのイメージ図。衝突の様子は分離カメラ「DCAM3」により観測し、はやぶさ2本体は安全な場所に一時退避する。(提供:JAXA)

 人類の手が新しい小さな星に届いた、その歴史的瞬間をとらえた映像が、3月5日、公開された。小惑星リュウグウにタッチし、浮上する「はやぶさ2」の周囲には、あたかも着陸成功を祝う紙吹雪のように、岩石のかけらがはらはらと舞い散る。

 はやぶさ2のプロジェクトサイエンティストである名古屋大学の渡邊誠一郎教授は、「ある程度破片が舞い上がる可能性は分かっていたが、破片がこんなに薄べったいものとは想像していなかった」と驚きを隠さない。

 リュウグウに舞った紙吹雪? まずは動画をご覧いただこう。

【動画:画像をクリックして再生】はやぶさ2の小型モニタカメラ(CAM-H)による着陸前後の動画。最終降下約1分前から5分40秒間連続撮像したものを5倍速の動画に。最終高度は約117m。なお、このカメラは寄付金により搭載された。(提供:JAXA)

 動画開始後30秒頃、はやぶさ2は着地、試料採取装置(ホーン)の先端が2cmほどずれる。直後にもやっとした噴煙、細かい粒子が舞い上がることから、弾丸が発射されたことが確実とみられる。エンジンを噴射しはやぶさ2が上空に上がると、紙吹雪のように岩や石のかけらが舞う。

「(かけらの)一つひとつがぺらぺらの形をしているのが特徴的。物を壊したとき普通はもっと丸い形になるのだが、ぺらぺらということはリュウグウ表面に層構造をもったものがあると予測される」(渡邊教授)

 こんなふうに紙吹雪が舞う様子は、リュウグウを上空から眺めているだけでは決して分からなかったこと。リュウグウに探査機がアクティブに手を出すことで、その意外な反応や応答特性が明らかになった。これは科学的にものすごく重要なことだと渡邊教授は力説する。