9月に史上初となる小天体移動ロボ「ミネルバⅡ1」の小惑星リュウグウへの着陸を成功させた小惑星探査機「はやぶさ2」が、10月頭にさらなる快挙を成し遂げた。今度は、ドイツとフランスが開発した小型着陸機「MASCOT(Mobile Asteroid Surface Scout)」をリュウグウに着陸させ、史上初となる小惑星上での科学観測に成功したのだ。
【参考】「世界初! 小天体上でホップし撮影するミネルバⅡ」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54209)
次々と「史上初」を成し遂げるはやぶさ2。しかし、これら「リュウグウの住人」により小惑星の詳細が明らかになるにつれ、「着陸するには意地悪極まりない小惑星」(津田雄一はやぶさ2プロジェクトマネジャー)であることが明らかになってきた。
意地悪極まりない小惑星って? 例えば、初代「はやぶさ」が着陸した小惑星イトカワは、凸凹の地形があるものの着陸できる平坦な場所もあった。ところが、リュウグウの表面は凸凹だらけで平らな場所がほとんどなく、地面そのものが大小さまざまな石の集合だったのだ。
津田プロマネは「新しい世界を探査するので、計画通りに行くとは思っていなかった。いよいよリュウグウが牙をむいてきた」と言う。その意地悪なリュウグウに何とか着地し、サンプルを地上に持ち帰る至上命題を達成するためには「はやぶさ2の実力をもう少し知る必要がある」と決断。具体的には、10月に2回のタッチダウンリハーサルを行い(その1回目は10月14~15日、つまりこの原稿が掲載された今まさしく実施中!)、その結果をふまえて2019年1月後半以降に本番に挑むことを、10月11日の記者説明会で発表した。
詳細を紹介する前に、まずは史上初の科学観測によって、「意地悪な小惑星」の詳細を今まさに明らかにしつつある、独仏の小型着陸機MASCOT着陸について押さえておこう。