リュウグウ到着確認後の「はやぶさ2」チーム。初代「はやぶさ」プロジェクトマネジャー川口淳一郎氏も駆け付けた。(提供:ISAS/JAXA)

 地球出発から1302日、32億Kmの航海を経て、2018年6月27日9時35分(日本時間)、小惑星探査機「はやぶさ2」は無傷で、目指した小惑星「リュウグウ」に精度高く、ぴたりと到着した。

 到着後に行われた会見では「天にも昇る気持ち」(津田雄一プロジェクトマネジャー)、「これから冒険が始まる。わくわくしている」(渡邊誠一郎プロジェクトサイエンティスト)と、“はや2”(はやぶさ2のこと)メンバーは喜びを爆発させた。人類未踏の探査そのものが日本では久しぶり(初代探査機「はやぶさ」帰還から約8年)。詰め掛けたたくさんの記者たちも笑顔で、会見後には盛大な拍手も自然に関係者に送られた。

記者会見で笑顔がこぼれる“はや2”チーム。中央が津田雄一プロジェクトマネジャー。

 現在、はやぶさ2は「リュウグウ」の上空20Kmの位置に横付けしている。リュウグウは直径約900mの小さな小惑星だ。はやぶさ2が接近し、その形や表面が徐々に明らかになるにつれ、科学者たちの予想をいい意味で裏切っていった。「大変興味深い星」「リュウグウを探査の対象に選んで本当によかった」と科学者たちは口々に語る。

 こうした科学的な価値はもちろん、リュウグウを調べることは「地球への脅威」に備えることも役に立つ。「地球に接近する小惑星の地球衝突を避ける『プラネタリーディフェンス(Planetary Defense)』の点でも貴重な知見になる」と、はやぶさ2吉川真ミッションマネジャーは語る。いったい何が科学者の予想を裏切り、地球防衛に役立つのか。「リュウグウ」の注目ポイントや、これから探査の注目点を紹介していこう。