繊細さと大胆さと。何より「楽しみながら」
これから約1年半の「はやぶさ2」はミッションてんこ盛りだ。まず、約2カ月にわたって、リュウグウの詳細観測を行い、地形や物質分布、重力を調べ、リュウグウの詳細な立体模型を作り上げていく。
そのデータをもとに、3カ所の着陸地点を選定する。津田プロマネによると今後、難しい運用は3つある。「1つはローバーを切り離すこと。リュウグウの上空60mという地上すれすれまで接近します。次にタッチダウンしてサンプルをとること。そして(衝突体をリュウグウに衝突させ)クレーターを作ること。これは初号機『はやぶさ』でも経験がない世界。全く情報ゼロの状態から組み立てていて、チャレンジングです」。
「自信は?」という問いには、 「あります。そういうふうに『はやぶさ2』を作り上げてきた。だけどリュウグウがどういう答えを出してくるか、やっていきながら感触をつかんでいきます」(津田氏)。
津田氏は「はやぶさ2」のプロマネとして、打ち上げ後3年半にわたり精密な運用を率いてきた。頭脳明晰で常に穏やかな方だが、「大胆にやりたい」と意外な言葉を口にした。「探査機の安全は100%守らないといけない。その範囲の中で、成功確率は100%にならなくても挑戦していく。どこを攻めれば一番成果が上がるか、大胆に決めていきたい」。
たとえばタッチダウンの際、思ったより地表の凸凹が大きく、探査機が自動的に着陸中止を判断する可能性があるかもしれない。だがその場所が成功確率が高いなら、攻めていくのだと。