私たちの宇宙も、突き詰めれば粒子からできている。 Image by NASA.

 こんにちは、小谷太郎です。今回は「スパコンと原子核と重力波」の話です。一見、無関係なこの三つのテーマは、研究の先端でどのように融合するのでしょうか。

ダイオメガの大予言

 2018年5月24日、「HAL QCDコラボレーション」という研究グループが記者発表を行ない、新粒子「ダイオメガ(ΩΩ)」の存在を予言しました。

【参考】http://www.riken.jp/pr/press/2018/20180524_1/

 HAL QCDコラボレーションは、理化学研究所、京都大学基礎物理学研究所、大阪大学核物理研究センターなどの研究者からなるグループで、「HAL QCD」は「Hadrons to Atomic nuclei from Lattice QCD」の略です。(うっすらと駄洒落の香りがただよう略称です。)

 このダイオメガとはどんな粒子でしょうか。どこに存在するというのでしょうか。

「ストレンジクォーク」という素粒子が3個合体すると「オメガ(Ω)粒子」というものになります。オメガ粒子は1964年に発見済みです。どこに発見されたかというと、アメリカはブルックヘブン国立研究所の粒子加速器の中です。粒子の衝突によってオメガ粒子が生成し、100億分の1秒ほどこの世に存在した後、消滅してまた他の粒子に変わりました。

 今回の発表によると、このオメガ粒子を(粒子加速器を用いて)2個合体させると、ダイオメガという粒子になるだろうというのです。

存在が予言されたダイオメガ粒子。ストレンジクォークが3個合体したものがオメガ粒子。さらに2個のオメガ粒子が合体したのがダイオメガ粒子。