ハッブル宇宙望遠鏡による、超新星2014JとM82銀河の観測イメージ。(本文の超新星とは違うもの。) Image by NASA, ESA, A. Goobar (Stockholm University), and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA)

 星が寿命の最期にパッチンと弾けて起こす大爆発は、「スーパーノバ(Supernova)」「超新星爆発」あるいは単に「超新星」と呼ばれ、これは天文学・宇宙物理学のホットな研究対象です。どれくらいホットかというと、これが起きると1000億K(ケルビン)程度のエネルギーを持つ粒子が地球に降ってくるので、「スーパーノバは1000億度」といってもいいかと思われます。

 ホットな研究対象なので、星が爆発する前から爆発後までを連続観測してデータを取りたいなあ、とは誰もが思うのですが、残念ながらこれはまず無理です。空のどこで今晩爆発が起きるか分からないためです。

 ところが2016年のある晩、あるアマチュア天文家が望遠鏡を夜空に向けて写真を撮っていたところ、超新星爆発が起きるところを偶然捉えてしまいました。研究者が喉から手が出るほど欲しいきわめて貴重なデータです。このようなデータが得られる確率は100万分の1という見積りもあります。

 超新星はなぜホットな研究対象なのでしょう。このデータからは何が分かるのでしょうか。解説しましょう。

超新星爆発とは

 ここでは、「II型超新星」あるいは「重力崩壊型超新星」と呼ばれる天体現象について説明します。他に、核融合反応が暴走して起きる「Ia型超新星」などがありますが、今回は扱いません。

 さて、恒星はどうしてパッチンと弾けて超新星爆発を起こすのでしょうか。