超新星の早期発見はかくも困難
大質量の恒星が、核融合燃料を使い果たし、超新星爆発を起こす過程は、加速度的に進行します。内部に溜まったケイ素が核融合で鉄に変わる時間は、約1日という短さです。昨日まで(中心部が)ケイ素でできていた恒星は、今日には鉄の星になり、明日は大爆発です。
この爆発の瞬間を観測装置で捉えることができれば、爆発過程のデータが得られて万々歳なのですが、そういう観測例はほとんどありません。現在の観測手法では、爆発寸前の恒星を特定することはできません。
現在は、自動観測の手法で、毎日1個程度の超新星が発見されています。
例えばオハイオ大学などのチームによる「ASAS-SNプロジェクト」では、世界各地に設置された20台の自動望遠鏡が、晩から明け方までせっせと夜空の写真を撮っています。太陽近くの領域を除いて、ほぼ全天が1日1回は撮像されます。撮られた写真は前日の写真と自動的に比べられます。
撮像データの中に1日で急に出現した光点が発見されると、世界中にアラートが送られます。ですが、そういう光点は超新星とは限りません。「新星」という天体現象の場合もあります。新星研究者が喜びます。
あるいは、それは小惑星かもしれません。世界中にアラートが送られます。小惑星愛好者が喜びます。
あるいは、それはまさしく超新星かもしれません。世界中にアラートが送られます。別の望遠鏡による追観測が始まります。明るさ、スペクトラム、赤方偏移が測定されます。
この手法だと、超新星爆発を発生から1日程度で発見することができます。これは大変な成果です。けれども、爆発の最初の1日分のデータは取得することができません。