超新星は宇宙を知る鍵
「銀河」は恒星が何十億個、何百億個と集まった群れですが、1個の銀河の中では超新星が約100年に1回発生すると見積られています。
約100年に1回パチパチ弾ける超新星は、銀河に影響を与える存在です。
超新星の際に吹き飛ばされて焼かれた物質は、元素組成が変化します。原子核がばらばらに壊れたり、逆にくっつきあって重い原子核が合成されたりします。超新星爆発によって、宇宙空間に新しい元素が供給されるのです。宇宙空間の元素組成を知るには、超新星爆発の過程を詳細に理解する必要があります。
そうして撒き散らされた元素は、宇宙空間のガスが集まって新たな恒星や惑星が生まれる際、その原料に紛れ込みます。ひょっとしたら、その惑星上で生命が誕生するかもしれません。(私達の知っている)生命は超新星爆発で合成された元素を原料にしています。超新星は(私達の知っている)生命に必須なのです。
超新星爆発の際にはニュートリノという素粒子が大量に生成されて、ほぼ光速で飛んでいきます。また重力波も放射されます。宇宙空間には「宇宙線」と呼ばれる粒子が飛び回っていますが、宇宙線も超新星からエネルギーを供給されていると考えられています。超新星から放出されたエネルギーは、さまざまな形態をとって、宇宙空間を満たしているのです。
銀河の中には超新星爆発で生まれた中性子星が数十万個も浮いていて、電波やX線やガンマ線をちかちか放っています。また、生まれた中性子星の質量が大きすぎると、ただちにブラックホールに変化すると考えられています。ブラックホールが銀河に何個浮いているかは、これからの研究で分かってくるでしょう。
このように、超新星爆発は宇宙を今あるような状態にしている重要な現象なのです。