恒星は、重力で集まったガスの塊です。重力は恒星を押し縮め、ガスは圧力で広がろうとし、その釣り合いで恒星は形を保っています。

 私達の最も身近な恒星、太陽の内部では、水素原子が「核融合」してヘリウム原子に変わり、その際に熱を発生しています。核融合の熱でガスは温められ、太陽は輝きます。核融合反応が続く間は、太陽もつぶれることはありません。

 けれども、太陽内部がヘリウム原子だらけになると、(中心部では)燃料の水素原子が欠乏し、水素の核融合の熱の供給が止まります。そうなると、中心部の密度が高まり、今度はヘリウム原子が核融合を始め、炭素原子や酸素原子を作ります。

 質量が私達の太陽の数十倍あるような重い恒星の中心部では、こういう具合に、核融合の燃料が使い果たされて、もっと重い元素が核融合をするというバトンタッチが進行していきます。次第に中心部の密度は高まり、重元素が増えていきます。

 大質量の恒星は、最終的には、内部に鉄を溜め込みます。鉄原子は核融合の燃料としては使えない、いわば核融合の燃えカスのような物質です。恒星の中心部には、質量が私達の太陽よりも重い鉄の塊ができあがり、重力によってぎゅうぎゅうのがちがちに圧縮されます。

 そして圧縮が限界を超えると、この巨大な鉄の塊は一気にぐしゃっとつぶれ、「中性子星(ちゅうせいしせい)」という特殊な物体に変わります。中性子星は質量が私達の太陽の1.4倍程度もあるのに、半径が10kmほどしかない、超高密度の異常な代物です。ほとんど中性子でできているので、「巨大な原子核」などと呼ぶ人もいます。

 恒星中心部の鉄の塊が中性子星に変化する際には、膨大なエネルギーが発生します。その恒星がそれまで長年輝くことで放射してきたエネルギーの、何十倍ものエネルギーが一瞬で放出されるのです。

 中性子星誕生の瞬間、恒星の外層部は宇宙空間に飛び散り、電波からガンマ線までのあらゆる波長の電磁波と重力波と膨大な「ニュートリノ」がほとばしり、周囲に不運な惑星などがあれば全て焼き尽くします。

 これが宇宙最大規模のパッチン、超新星です。