(小谷太郎:大学教員・サイエンスライター)
2024年9月26日、広島大学の片山郁夫教授と海洋研究開発機構(JAMSTEC)の赤松祐哉研究員が、火星の地下に水が存在する可能性があるという研究結果を発表しました(※1)。
火星というと、もしかしたら生命がいるのではないか、いやそんな莫迦なことあるわけないだろ、などと昔から果てしない議論が続いている惑星です。
火星にはほとんど大気がなく、地表はからっからに乾燥していることが20世紀に明らかになると、生命期待派の旗色は悪くなりました(が、完全に黙ることはありませんでした)。
どうして火星は地球とちがって、冷たく乾いた砂漠の惑星になってしまったのでしょうか。最近、これを調べるために送り込まれた探査機たちが、驚くべき可能性を相次いで報告してきました。
火星の地下には、莫大な量の水が隠されていて、そのかなりの割合は液体の状態だというのです。
火星の地下には太古の海が眠っている可能性があるのです。
そうなると、生命期待派の勢いも復活です。最近の火星研究の進展を解説しましょう。