2024年5月10日から11日にかけて、世界中でオーロラが観察された。(カナダ・バンクーバー。写真:AP/アフロ)

(小谷太郎:大学教員・サイエンスライター)

 2024年5月10日〜11日(協定世界時、以下同じ)、この20年で最大の磁気嵐が地球周辺に吹き荒れました。北極からハワイまでオーロラが襲い、赤や緑に輝く夜空の写真と人々の賛嘆の声がSNSを埋め尽くしました。日本でも北海道や能登半島から、オーロラが見えたという報告が届きました。

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 磁気嵐は、太陽表面がぼかぼかフレア(爆発)を起こして、X線やら粒子やら磁力線やらを大放出することで生じます。どうやら2024年は数十年ぶりの「当たり」の年で、後半も活発な太陽活動が期待できます。

「期待できます」などと書いてしまいましたが、磁気嵐は破壊的な電磁気現象で、通信や発電網やGPSなどのインフラに深刻な影響を及ぼす可能性があります。2003年の磁気嵐では、スウェーデンや南アフリカなど世界各地で停電が起きました。

 どうして今年は数十年ぶりの太陽フレア大当たりの年となったのでしょうか。今後、いったい何が起きる(かもしれない)のでしょうか。

世界各地をオーロラが襲う

 5月10日から11日には、世界の人々が夜空を見上げ、初めて見るオーロラに驚嘆しました。芸術的な写真を何枚かお見せします。

アイルランド・ダブリン(北緯53°)で観測されたオーロラ。(撮影・提供:Glenn Polley)
ナミビア・ウィントフック(南緯23°)で観測されたオーロラ。(撮影・提供:Richard Payne)
長野県小海町(北緯36°)で観測されたオーロラ(赤気)。2024年5月11日14時54分(協定世界時)。(撮影・提供:大西浩次)