なぞー900mの天体に100mもの巨大岩が多数
そもそも「リュウグウ」とはどんな天体なのか。
直径約900m。自転周期約7時間38分。初代「はやぶさ」が探査した小惑星イトカワは「S型」と呼ばれるが、リュウグウは「C型」なのが大きな違いだ。S型は岩石質だが、C型は有機物(炭素を含む化合物)や水を含むと考えられている。炭素と水は地球生命の原材料。地球の海の水の起源や生命の原材料をも探求できることが期待される。C型小惑星からのサンプルリターンは「はやぶさ2」が世界初だ。
まず、注目ポイント(1)はリュウグウの「形」。もっと丸いと思われていたが、その形は「コマ型」だった。そろばんの玉にも似ている。実はコマ型小惑星は既に多数発見されている。しかし、コマ型は早く回転する小惑星に特徴的な形であり、リュウグウのように比較的ゆっくり自転する小惑星がこの形だったことに「すごく驚いた」と杉田精司東京大学教授は語る。
注目ポイント(2)は、表面にある多数の「ボルダー(岩の塊)」。「たくさんの岩がごつごつ見えていて、飛び出しているものもある。100mクラスの大きなボルダーもある。直径900mしかない小天体にこれだけの数と大きさのボルダーがあるのは不思議なこと」と渡邊プロジェクトサイエンティストは指摘する。
なぜ、小さな天体に大きなボルダーが多数あることが不思議なのか。それは重力と関わる。小さな天体は重力が弱い。そのため、宇宙から何らかの天体がリュウグウに衝突して破片(=岩塊)ができたとしても、宇宙空間に飛び出し地表にはとどまらないはずだと。