
今日の日本の建築界を形づくった建築家・丹下健三は、2025年3月22日で没後20年となる。著名な「丹下建築」以外にもある、「知る人ぞ知る丹下健三の傑作」を3つ紹介する。第3回は1970年に完成した「駐日クウェート国大使館」。
(宮沢 洋:BUNGA NET編集長、編集者、画文家)
※本稿は『画文で巡る! 丹下健三・磯崎新 建築図鑑』(宮沢洋著、総合資格)より一部抜粋・加筆し、写真を追加したものです。
1970年といえば、丹下健三が大阪万博で「お祭り広場」の大屋根を実現した年だ。それと同じ年に、丹下はこんな手の込んだ小品をつくっていたのかと驚かされるのが駐日クウェート国大使館だ(丹下の作品録では「在日クウェイト大使館」と表記)。

丹下は70年代にいくつかの駐日大使館を設計しているが、その先陣を切ったプロジェクトでもある。また丹下は1979 年にクウェート国際空港を完成させており、70年代以降、海外に設計活動の軸足をシフトさせていく。
2本のコアシャフトを中心に、下部に大使館の執務空間、上部にホールと大使公邸が隙間を空けながら積層されている。
