「コアシャフト」というのは、丹下が1960年代、“成長する都市”を実現するために考案した構造形式で、エレベータや設備などを内包した太い幹(垂直シャフト)の間を床でつなぐもの。実現したプロジェクトでは、「山梨文化会館」(1966年)や「静岡新聞・静岡放送東京支社」(1967年)が代表例だ。駐日クウェート国大使館はその系譜といえる。

JR甲府駅の目の前にある「山梨文化会館」(1966年)
JR新橋駅のすぐ近くにある「静岡新聞・静岡放送東京支社」(1967年)。これは1本のコアから床が両側に突き出す

 だが、デザインのテイストはそれらと比べてかなり異質。筆者が“転調造形”と呼んでいる、あえて幾何学性をずらしたようなデザインだ。今では世界の建築デザインの主流であり、その流れを50年先取りしていたともいえる。

あえてリズムを崩したような“転調造形”(筆者の造語)