この安藤建築、知ってますか?(写真はすべて宮沢洋)

愛媛県松山市には、安藤忠雄氏の建築として「坂の上の雲ミュージアム」が知られている。だがもう一つ、あまり知られていないが、本当にすごい建築がある。ホテルなので普通は見学はできないところ、建築編集者の宮沢洋氏が特別に取材に応じてもらい、その“すごさ”をレポートする。(JBpress)

(宮沢 洋:BUNGA NET編集長、編集者、画文家)

 道後温泉(愛媛県松山市)周辺の建築を2回にわたって紹介した。

保存修理が進む道後温泉本館には“建築の神さま”がいた
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68224

“街の顔”道後温泉駅舎はほぼ「スタバ」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68269

 今回は同じ松山市内にある安藤忠雄氏の建築を取り上げる。とはいっても、一般によく知られている「坂の上の雲ミュージアム」ではない。

 松山にあるもう1つの安藤建築は、あまり知られていないが、これが本当にすごかった。1998年に完成したホテル「瀬戸内リトリート青凪(あおなぎ)」である。正確に言うと、1998年に完成したときには「エリエールスクエア松山」という名の、大王製紙のゲストハウス兼ミュージアムだった。

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 大王製紙が2015年にホテルとしてリニューアルし、(株)温故知新(東京)が運営するホテル「瀬戸内リトリート青凪」となった。

◆瀬戸内リトリート青凪(旧・エリエールスクエア松山)
松山市柳谷町794-1
設計:安藤忠雄建築研究所
竣工:1998年
参考サイト:https://www.setouchi-aonagi.com/

 敷地は「エリエール ゴルフクラブ松山」のすぐそば。松山市の中心部から車で30分ほどかかるので、出張のついでに見られる機会はなかった。ホテルになってからは、一般の見学は受け付けていない。今回はイベント「道後クリエイティブステイ」に参加した特権で、事前にアポを入れて見学させてもらった。

 前面道路からは、石垣のような擁壁と建物の一部しか見えない。