(写真:宮沢洋、以下も)

(宮沢 洋:BUNGA NET編集長、編集者、画文家)

 今回は、この建築の話である。この一画は池袋駅前再開発の対象地域で、遠からず姿を消すかもしれない。

 その前に、「池袋ウエストゲートパーク」というテレビドラマを見たことがあるだろうか。以下、ウィキペディアから引用させていただく。

 2000年4月14日から6月23日まで毎週金曜日21:00~21:54に、TBS系の「金曜9時」枠で放送された日本のテレビドラマ。主演は長瀬智也。脚本は宮藤官九郎。チーフ演出は堤幸彦。通称およびドラマ内での愛称は「I.W.G.P.」。ウィキペディアより)

 脚本家としての宮藤官九郎が注目を浴び、堤幸彦のニッチな演出がメジャーに躍り出るきかっけとなった傑作ドラマだ。2020年秋からアニメもやっていた。

 原作は石田衣良の「池袋ウエストゲートパーク(シリーズ)」。再びウィキペディアより。

 (石田衣良は)36歳の時に小説家になることを決意し、数々の新人賞に応募。1997年、それまで応募したことのなかったミステリーの賞に応募したところ、第36回オール讀物推理小説新人賞を受賞。そのデビュー作が「池袋ウエストゲートパーク」である。ウィキペディアより)

 小説(シリーズ第1作)が発刊されたのが1998年。ドラマが2000年。私は、知人が池袋住まいだったため、1990年ごろから池袋でよくうろうろしていたのだが、「池袋ウエストゲートパーク」が何を意味するのか、ドラマを見るまで分からなかった。やんちゃな若者たちの話とは聞いていたので、ゲームセンターかクラブの名前かと思っていた。

 ドラマを見て、目からウロコ。そうか、池袋西口公園だったか! 「ウエストゲート」=「西口」、「パーク」=「公園」。驚くほど直訳。でもダサかっこよくて、池袋っぽい。

池袋西口公園。左奥が東京芸術劇場。手前のリングは2019年に新設された「GLOBAL RING(グローバルリング)」

「I.W.G.P.」と向かい合う位置に建つ

 池袋西口公園は、豊島区が豊島師範学校跡地に整備した公園。隣接する東京芸術劇場(設計:芦原義信、上の写真の左側)と一体的に整備され、1990年に完成した。

 で、ようやく本題のこの建築である。1996年に大江匡(ただす)氏の設計で完成した「東京都豊島合同庁舎」だ。