(宮沢 洋:BUNGA NET編集長、編集者、画文家)
池袋西口のシンボルともいうべき「池袋マルイ」が今年(2021年)8月で閉館する。池袋在住20年の筆者は、心の中でこの建築を「池袋の中央電信局」と呼び、「白メシのごとき名建築」と高く評価している。
なぜ「池袋の中央電信局」かというと、池袋駅側から見た外観が、山田守(1894~1966年)の設計した「東京中央電信局」(1925年、逓信省在籍時)に似ているからだ。現存しない建物なので、以前に描いたイラストでどうぞ。
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東京中央電信局は真っ白の外壁にパラボラ(放物線)アーチを連続させ、どこかゴシック風。池袋マルイも、パラボラではないものの、白い外壁に繰り返される縦長アーチ。そして屋上の塔。丸井の店舗には、他にも連続アーチのものがあるが(新宿店など)、池袋店はこの角度(↓)から見ると実に東京中央電信局と似ている。
そして、なぜ「白メシ」なのか。名建築を「たまに食べるとすごくおいしいオカズタイプ」と「毎日食べても飽きない白メシタイプ」に二分するならば、池袋マルイは明らかに後者である。