愛媛県松山市にある道後温泉本館の保存修理工事が、営業を続けながら行われている。「営業を続けられる条件」が奇跡的に揃っていたからだ。道後温泉本館には“建築の神さま”がいて、“見えざる手”を働かせているのではないだろうか。建築編集者の宮沢洋氏が松山からリポートする。(JBpress)
(宮沢 洋:BUNGA NET編集長、編集者、画文家)
「道後温泉本館」には出張ついでに何度か来たことがあって、2014年には「建築巡礼」でも取り上げている(書籍『プレモダン建築巡礼』に収録)。実は今年(2021年)の夏にも出張で来た。そのとき、上の写真のようなダイナミックな光景(この状態でも営業している!)に心を打たれた。
そして今回訪れると、こんなことになっていた。
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なんて前衛……。12月17日に後期工事の素屋根(工事中の建物をすっぽり覆う仮設屋根)がお披露目になったばかりだという。デザインは愛媛県の宇和島を拠点に活動するアーチストの大竹伸朗氏だ。素屋根も面白いが、それは他のメディアも報じていると思うので、ここでは中で行われている工事の面白さについて書きたい。