「みんなの建築大賞2025」で大賞と推薦委員会ベスト1に輝いた「茨木市文化・子育て複合施設 おにクル」(写真:森清)「みんなの建築大賞2025」で大賞と推薦委員会ベスト1に輝いた「茨木市文化・子育て複合施設 おにクル」(写真:森清)

(萩原詩子:編集者・ライター)

 オンライン投票で大賞を決める建築アワード「みんなの建築大賞2025」。2年目となる今年は「茨木市文化・子育て複合施設 おにクル」(設計:伊東豊雄建築設計事務所・竹中工務店JV)が、大賞と推薦委員会ベスト1をダブル受賞した。

 また、一般投票で「おにクル」に次ぐ2位につけた「ジブリパーク 魔女の谷」(デザイン監修:スタジオジブリ、設計:日本設計)に、特別賞が授与された。

大賞の「おにクル」、特別賞の「ジブリパーク 魔女の谷」、一般投票3位~5位の各作品など写真12点はこちら

 みんなの建築大賞推薦委員会は、2025年2月10日に東京都文京区の国立近現代建築資料館で大賞発表&授与式を開催。2組の受賞者が自作についてプレゼンテーションを行った。多くの共感を集めた建築がどのようにしてつくられたのか、それぞれ興味深い経緯が語られた。

授与式にて。左端はみんなの建築大賞推薦委員会委員長代理で大阪公立大学教授の倉方俊輔氏。その隣から、「おにクル」設計の竹中工務店大阪本店設計部設計第3部長の國本暁彦氏、伊東豊雄建築設計事務所の神崎夏子氏、同代表の伊東豊雄氏。続いて「ジブリパーク」設計の日本設計建築設計群チーフ・アーキテクトの大山政彦氏と同建築設計群主管の西村拓真氏。右端は国立近現代建築資料館副館長の山崎智紀氏(写真:長井美暁)授与式にて。左端はみんなの建築大賞推薦委員会委員長代理で大阪公立大学教授の倉方俊輔氏。その隣から、「おにクル」設計の竹中工務店大阪本店設計部設計第3部長の國本暁彦氏、伊東豊雄建築設計事務所の神崎夏子氏、同代表の伊東豊雄氏。続いて「ジブリパーク」設計の日本設計建築設計群チーフ・アーキテクトの大山政彦氏と同建築設計群主管の西村拓真氏。右端は国立近現代建築資料館副館長の山崎智紀氏(写真:長井美暁)

「みんなの建築大賞2025」は、2024年に完成または公表された国内の建築から10作品を選び、オンラインで広く一般から投票を募って大賞を決めるというものだ。前回(2024)はX(旧Twitter)のみの投票だったが、今回はInstagramとGoogleフォームも導入した。投票期間は2025年1月27日から2月5日までの10日間で、投票総数は1万2963票だった。

 投票結果を見ると投票メディアによって傾向が異なり、おのおのの特性が表れたのも面白いところだ(詳細は後述)。

 候補作「この建築がすごいベスト10」と、その選考過程についてはこちら。
SNS投票で大賞決定、投票が始まった「みんなの建築大賞2025」の候補10作品を一挙紹介

 推薦委員から最多推薦を受けたのが「おにクル」で、推薦委員会ベスト1となった。さらに一般投票では「ジブリパーク」との間で首位争いを繰り広げたが、最後の2日間で大差を付けて逃げ切った。その要因も追って書く。