駅舎がほぼまるごと「スタバ」な伊予鉄道道後温泉駅(写真はすべて宮沢洋)

「ほぼスタバ」の駅舎、正岡子規の博物館、道後温泉の別館、黒川紀章設計のホテル…。道後温泉の温泉街周辺には、興味深い近現代建築がいくつもある。道後温泉に宿泊した建築編集者の宮沢洋氏が歩きながら案内する。(JBpress)

(宮沢 洋:BUNGA NET編集長、編集者、画文家)

 前回の記事、道後温泉本館(愛媛県松山市)のみごとな保存修理工事は、いかがだっただろうか。

保存修理が進む道後温泉本館には“建築の神さま”がいた
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68224

 せっかく道後温泉まで来たので、温泉街にある近現代建築を徒歩で巡ってみた。スタート地点は、路面電車の「道後温泉駅」だ。

◆道後温泉駅
松山市道後町1-10-12
設計:不詳
竣工:1911(明治44)年竣工の旧駅舎を1986年に復元
参考サイト(スターバックスコーヒー):https://store.starbucks.co.jp/detail-1577/

 行ったことのない人のために説明しておくと、道後温泉駅はJRの駅ではなく、JR松山駅から東方向に路面電車(伊予鉄道)で25分ほど行った山裾にある。

 この駅舎は明治末期に建てられた洋風の木造駅舎を、1986年に鉄骨造で再現したもの。つまりレプリカだ。

※本記事に含まれている写真や画像が配信先のサイトで表示されない場合は、こちらでご覧ください。https://jbpress.ismedia.jp/articles/gallery/68269

モデルになった旧駅舎

 レプリカなんて…と言う人もいると思うが、これほど“街の顔”としての役割を果たしている駅舎はそうそうないと私は思う。ライトアップも雰囲気があっていい。

 使われ方も画期的。チケットカウンター以外は、ほぼまるごと「スタバ」なのだ。

「伊予鉄道道後温泉駅の駅舎を一棟まるごとスターバックスとして出店している店舗です。(中略)1階のバーカウンターは枕木で仕上げ、バーの奥に設けた窓からは、バリスタ越しに電車が行き交う様子をご覧いただけるなど、旅の始まりのような心高まる演出を施しました」(スターバックスコーヒーの公式サイトより)