2018年のノーベル化学賞、米英の研究者3氏に 酵素の開発で

スウェーデン王立科学アカデミーによる2018年ノーベル化学賞の発表の際、スクリーンに映し出された受賞者の(左から)フランシス・アーノルド氏、ジョージ・スミス氏、グレゴリー・ウィンター氏の顔写真(2018年10月3日撮影)。(c)AFP/TT News Agency/Jonas EKSTROMER〔AFPBB News

 こんにちは、小谷太郎です。

 2018年のノーベル生理学・医学賞はジェームズ・P・アリソン博士と本庶佑(ほんじょ・たすく)博士に授与されました。おめでとうございます。けれどもこの記事では、その影に霞んでいる感のあるノーベル化学賞について解説します。

 2018年のノーベル化学賞は、2分の1を米国カリフォルニア工科大のフランシス・H・アーノルド教授が「酵素の指向性進化法の開発」で受賞しました。賞金額は約5600万円(450万スウェーデン・クローナ)です。

 残りの2分の1は、ジョージ・P・スミス米国ミズーリ大名誉教授と英国のサー・グレゴリー・P・ウィンター博士が「ペプチドと抗体のファージ・ディスプレイ法の開発」で共同受賞しました。スミス名誉教授とウィンター博士が約2800万円(225万スウェーデン・クローナ)ずつです。

 どちらも素晴らしい業績ですが、今回は、指向性進化法について解説しましょう。

酵素の指向性進化法

 しかしところで「酵素」とは何でしたっけ。それが「指向性」の「進化」をするとは、いったいどういうことでしょうか。進化すると何が起きるのでしょうか。