リュウグウの地下は「金太郎飴」か? 史上初の挑戦へ

 果たして、リュウグウ表面にどんなクレーターが形成されるのか。チームは地上で衝突実験やシミュレーション実験を実施している。渡邊教授は「リュウグウの粒子と粒子がどのくらいの力で引き合っているかで、結果は全然違ってくる」と指摘する。

 悲観的な見方をすれば、リュウグウ内部に衝突体がぐさっと入りエネルギーを失ってクレーターができないかもしれないし、楽観的に考えれば、10m近いクレーターができる可能性もあると。半径3mのクレーターがあれば着陸できる可能性があるそうだ。

 だが、たとえクレーター内部に着陸できなくても、衝突実験そのものが大きな意味をもつと渡邊教授は考える。

「(衝突体をぶつけることで)リュウグウ表面のボルダー(岩の塊)が壊れて飛び散ることが想定される。その下に何があるか。地下まで同じように岩が隠れているとしたら新しい岩が顔を出す。つまり『金太郎飴』のような状態なのか、それとも、表面は大きな岩があるが下は細かい岩砂ばかりなのか。まさに未知なところであり、内部を知りたいのです」

 その予告編が今回のタッチダウン映像。「小さな弾丸でもあんなこと(紙吹雪)が起こるのだから、2kgの衝突体を高速でぶつけると何が起こるか。期待できる」(渡邊教授)。

 新元号が公表される4月第1週、3億km彼方の小さな星で、史上初の壮大なショーが実施されようとしている。ぜひ注目を。