ミステリーか、“フィクション”か──。8日に消息を絶ったマレーシア航空370便は、11日目を迎えた18日になっても機体はいまだ行方不明。根本的な謎が解決されるまでには至っていない。

 ただ、分かってきたことは、「ハイジャック、あるいは自殺行為のような意図的行為」により飛行機が消えたということ。何らかの理由で、「故意」に南シナ海でいったん消息を絶ったあと、マレーシア北部を越え、インド方面(インド洋)に針路を変えたとする可能性が非常に高い。

消息不明は、アンワル元副首相を支持する機長の“ジハード”なのか

 ナジブ首相が公開した衛星データ分析によると、不明機は、広大な2つの地域に位置する可能性がある。1つは、タイ北部から カザフスタン、さらにトルクメニスタンに至るまでの北側地帯。もう1つは、インドネシアから広大なインド洋にかけての南側地帯。

 しかし、北側は、武装テロ集団などによる紛争の絶えない広範な地域が広がり、ミャンマー、タイ、パキスタン、インドなどを 通過しなくてはならない。特に辺境地域空域は、各国の警戒の重点的地域。米国のアフガニスタンでの設備が警戒を強化している空域も含まれ、通常は、領空侵犯でスクランブルを受けるはずだ。

 さらに、各国空軍の衛星やレーダーだけでなく、民間のレーダーが交錯する地域を“フリーパス”で潜り抜けることは考えにくい。

 米国当局筋は、「不明機がインド南部のレーダーの範囲外に相当する海域に墜落した可能性が高い」とした上で、「現在の時点で、同機がどこかに着陸したとは考え難い」とも分析。また、2001年9月の米国同時多発テロ以降、たとえ乗客が殺害されても、操縦室のドアは開閉しないことが航空業界の暗黙の了解になっており、乗客など外部からの侵入も考えにくい。

不明マレーシア機の捜査、操縦士2人に焦点

消息を絶ったマレーシア航空MH370便のザハリ・アフマド・シャー機長 ©EYEPRESS NEWS〔AFPBB News

 MH370便には航空工学関連のエンジニアや民間のパイロットが搭乗していたとされるが、今のところ高度な操縦能力を持つ乗客への特定には至っておらず、さらに副操縦士もボーイング777の訓練飛行だったという事実から浮かんだ“容疑者”が、ザハリ機長(53歳)。

 飛行時間は1万8000時間以上のベテラン操縦士で、自宅にはボーイング777のフライトシミュレータ―も装備していた。

 マレーシアの捜査当局は、ザハリ機長の家宅捜索なども行ったが、では一体、動機は何なのか。カリド警察長官は記者会見で幾度も「ハイジャック、乗員の職務放棄、乗客・乗員の精神的問題、乗客・乗員の金銭問題(負債等)」をその根拠としている。