アントノフ設計局(航空機設計)、アヴィアント(航空機製造)、ハリコフ航空機工場(航空機製造)、イフチェンコプログレース(航空エンジン開発)、モートル・シーチ(航空エンジン製造)、ヤーンゲリ設計局(ロケット・ミサイル開発)、ユジマシ(ロケット・ミサイル製造)など、有力な航空宇宙関連の企業がウクライナに集まった。

アントノフと世界最大の航空機

 アントノフは世界最大の航空機を製造した実績から航空業界では非常に名を知られた存在であるが、その実態は非常に分かりにくい。

 ソ連の航空産業では設計部門と製造部門が別々の組織であり、時代によって名前が次々に変わっていく。さらに、ウクライナ独立後、アントノフにはウクライナの航空機の機体に関わる主要メーカーをすべて吸収させていったため、姿も変えていった。

 それではあまりに分かりにくいので、思い切って整理をすると、キエフのアントノフ設計局と同じ敷地にあるアヴィアントと呼ばれていた工場をアントノフとみなすと、当たらずも遠からずということになる。

アントノフ。アントノフ設計局とアヴィアントが同じ敷地にある。現在は、アントノフはウクロボロンプロムに吸収されたことになっている。

 実際、両者は同じ敷地にいるし、長期にわたり必ずしも一心同体でなかった一方で、アントノフ設計局が設計した航空機をアヴィアントが作ることは少なくなかった。世界最大の航空機もそうであった。

 1980年代初め、アントノフは当時世界最大の航空機、An-124を開発・製造した(細かいことを言うと、アントノフ設計局が設計し、アヴィアントが製造した。さらに、細かく言いえば量産は途中でロシアのアヴィアスタルSPでも始められている)。

 この輸送機、積載量は最大で150トンに達する。ジャンボジェット機の貨物型は最新型でも135トンに留まる。そして、貨物室の幅が広いため、ジャンボジェットでは運べないサイズの貨物も運ぶことができる。

 日本でもアントノフ輸送機として知られ、現在でも大型貨物輸送に活躍する。