針小棒大と一蹴

 一連の事態を盧素英氏側はどう見ているのか?

 盧素英氏の代理人弁護士はこの日、「一部の誤りを針小棒大の取り上げ、司法の判断を妨害しようとすることは遺憾だ」とコメントした。

 崔泰源会長が保有する株式の価値の推移の計算に間違いがあったとしても、ことの本質に影響はないという立場だ。

 崔泰源会長の資産が4兆ウォンに増えるまでの過程で盧素英氏の寄与は大きかったという事実に変わりがないという立場だ。

 韓国紙デスクは「ソウル高裁の計算間違いはお粗末としか言いようがない」としたうえで、判決をこう評価した。

「これまで財閥総帥の離婚訴訟では財産分割額が低く抑えられてきた。今回は、誰に責任があるのか明確にしたうえで、配偶者の貢献をきちんと判断した。慰謝料も20億ウォンと最高額で画期的な内容だとの指摘も少なくない」

「ただし、盧泰愚元大統領の機密資金がグループ発展に寄与したというのはかなり論理の飛躍ではないか。証拠も弱い」

「元大統領の娘との結婚で経営権を固めたという点も、明確ではない。これらの点を勘案して算定した資産分割額が妥当なのか。疑問は残る」

 法曹界やメディア関係者も、今回の離婚訴訟については崔泰源会長に厳しめの意見が多い。それでも、「盧泰愚元大統領の機密資金」との関連については、疑問を投げかける声が多い。

 ソウル高裁は、崔泰源会長が保有する資産を4兆ウォンと推計し、65:35の比率で分けるよう命じた。

 その根拠となったのが、会長時代に価値を急拡大させたこと、元大統領の娘と結婚したこと、元大統領から機密資金の提供を受けたこと、などだった。

 崔泰源会長側はいずれも否定するわけだ。

 一方の、盧素英氏側は、「完勝した」(韓国紙デスク)ソウル高裁判決を妥当な判断だとみている。

 大法院での判断はどうなるのか。

 韓国メディアによると、2022年に離婚訴訟のような「家裁案件」の上告審のうち9割以上が棄却だった。法理判断に当たらないと判断したようだ。

 大法院は「離婚訴訟の金額だけで判断をするわけではない」(弁護士)が、今回の訴訟は社会的関心、影響が大きく、大法院でも審理するとの見方もある。

 今回の離婚劇は、ドラマのような展開で世の中の関心も高い。