マスクのスペースX、売上高2兆円超に

 ただ、宇宙開発競争はすさまじいスピードで進んでいます。その推進役も、かつての政府部門ではなく民間企業に移りました。

 例えば、2002年に起業家のイーロン・マスク氏によって設立された「スペースX」社は、2024年度の売上高が2.3兆円に達する見込みです。同じく起業家のジェフ・ベゾス氏が2000年に立ち上げた「ブルー・オリジン社」も急成長。宇宙産業の重要な担い手になりました。

スペースXの「ファルコン9」(写真:ZUMA Press/アフロ)

「米国の10分の1程度、80社ほどしかない」と言われる日本の宇宙ベンチャーも次第に成長してきました。月面での資源開発などを目指す「アイスペース(ispace)」、超小型衛星の開発・打ち上げの「インターステラテクノロジズ」、宇宙空間のゴミ除去を手掛ける「アストロスケール」などがその代表例です。こうした宇宙企業の多くはJAXAと協力しながら事業を展開しているのです。

 この1月に月面で活動を始めた無人探査機「SLIM」は、着陸地点の誤差が3〜4メートルという「ピンポイント着陸」を成功させました。目標としていた「誤差100メートル」をはるかに上回る世界最高の精度でした。まさに日本の技術の力です。月面への夢の傍らでは、夢を支える技術が確実に育っています。

フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。

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