京都アニメーション放火殺人事件で、青葉真司被告の判決公判が開かれた京都地裁の法廷=1月25日(写真:代表撮影、共同通信社)

京都アニメーション放火殺人事件で京都地裁は1月25日、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)に死刑を言い渡しました。死者36人、重軽傷者32人。日本の刑事裁判史上、突出して多い被害者を出したこの事件は「裁判員裁判」によって審理されました。重大事件に向き合う「裁判員」は一般市民から選出されます。では、裁判員裁判とは、どのような仕組みで動いているのでしょうか。やさしく解説します。

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「開かれた裁判の実現」が目的

 裁判員裁判とは、市民から選ばれた裁判員が刑事事件の審理や評議に加わる裁判を指します。市民が刑事事件の審理に加わる「陪審制度」は米国をはじめ、イギリスやフランスといった欧州各国など世界で広く採用されています。外国のドラマや映画に登場する緊迫の法廷シーンに、陪審員が座っている姿を観たことがある人も多いでしょう。それとほぼ同じ仕組みが日本の裁判員制度です。

 日本では戦前の一時期、一部で陪審制度が導入されていましたが、戦後は長らく、司法試験に合格した法曹の専門家だけが審理するシステムが続いていました。その流れに終止符が打たれ、裁判員制度が始まったのは2009年のことです。

 なぜ、このシステムが導入されたのでしょうか。

 日本では1990年代末ごろから、閉鎖的で古びた司法の仕組みをどう変えるかという司法改革が大きな課題となっていました。その1つが「開かれた裁判の実現」です。

 議論の過程では「司法試験に合格した職業裁判官だけで裁判を運営していると、市民社会の認識とずれていく恐れがある」「プロ裁判官は被害者の無念を理解できないのではないか」「市民参加がないから、市民と裁判の距離が遠い」といった声が噴出しました。裁判官がどんな人たちかの情報もほとんど伝わらず、黒い法被の下にどんな考えを抱いているのかも分からない。そうした国民の不信を是正する仕組みとして、いまの制度はスタートしたのです。