どうやって選ばれるのか?

 裁判員はどのようにして選ばれるのでしょうか。実は候補者のリストが裁判所によって毎年作成されているのです。

 毎年秋になると、市町村選挙管理委員会は衆議院選挙の選挙人名簿からクジで無作為に有権者を選びます。翌1年間分の名簿です。それをもとに各地裁は裁判員候補者名簿を作成。当事者に郵便で通知します。

 その中には調査票が入っており、裁判員になれない理由がないかの回答を求める仕組みです。警察官や自衛官などは裁判員になれませんし、重い疾病なども辞退の理由となります。こうしたプロセスを経て最終的に「裁判員候補者」となり、裁判所は事件ごとに就任を打診していくわけです。

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 昨年9月5日から始まった京アニ事件の裁判員裁判では、1カ月前の8月9日に京都地裁で裁判員の選任手続が行われました。呼び出しを受けた候補者は83人。そのうち63人が出席し、裁判所の詳しい説明を聞くなどした後、裁判員6人、補充裁判員6人が選ばれました(補充裁判員とは、裁判員が病気などで途中から職務を遂行できなくなった場合に正式な裁判員を務める役割)。京都地裁は500人を候補者としてリストアップしましたが、仕事や家庭の事情などを理由に400人以上の辞退者が出たことになります。

 最高裁の資料によると、制度開始の2019年から2023年3月末までに候補者名簿に名前が記載された人は381万3706人に上ります。裁判所によって候補者として選定された者はその4割、161万3771人。そこから調査票に基づく辞退者などを除き、正式な裁判員となった者はこれまでに累計で8万8380人に達しました。

 では、裁判員に選ばれる確率はどのくらいあるのでしょうか。