主な対象は殺人・放火など「重大事件」

 裁判員に選ばれた市民は、裁判官と一緒に刑事事件の法廷(公判)に立ち合い、判決まで関与します。公判では、証拠書類や証拠物の取り調べがあり、証人・被告人に対する尋問などすべてのプロセスに参加。証人らへの質問もできます。最後は、被告人が有罪か無罪か、有罪の場合はどのような刑罰に処すかを話し合い(評議)、内容を決定します(評決)。評議には裁判官も加わりますが、意見が一致しない場合は裁判員も含めた多数決となります。

事件発生当日、煙を上げる京都アニメーションの第1スタジオ=2019年7月、京都市伏見区(写真:共同通信社)

 もっとも、すべての刑事事件が裁判員裁判で審理されるわけではありません。主な対象事件は、主に最高刑が死刑や無期の懲役・禁錮に該当する犯罪です。具体的には①人を殺した場合(殺人罪) ②強盗が人を死なせたり、けがさせたりした場合(強盗致死傷罪) ③泥酔して車を運転して人を死亡させた場合(危険運転致死罪) ④人が住んでいる建物に放火した場合(現住建造物等放火罪)といった重大事件がこれに当たります。

 最高裁事務総局の資料によると、2022年に一審で新たに公判の始まった事件の被告人は5万9503人でした。このうち、裁判員裁判の対象は839人。比率にすれば、わずか1.4%です。しかし、有罪となれば、死刑や無期懲役などの判決が下される重大事件ばかりですから、選ばれる裁判員の責任は重大です。