人工衛星を使ったインターネット通信サービスの実現を目指す米アマゾン・ドット・コムは10月6日、初めての試験衛星を打ち上げた。同社は2024年内のサービス開始を予定しており、地球上のどこでも利用できる高速ブロードバンド接続を大規模に展開したい考えだ。
衛星と地上網機能を検証
この分野では、イーロン・マスク氏が率いる米スペースXの「Starlink(スターリンク)」が先行しており、アマゾンはライバルと競争できる状況にようやく近づいたと米ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。
米東部時間10月6日午後2時6分、米南部フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地で、アマゾンの試験衛星2基を載せた大型ロケットが発射された。使用したロケットは、米United Launch Alliance(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス、ULA)の「Atlas V(アトラスV)」。試験衛星は高度約500キロメートルの軌道上に投入された。アマゾンは今後数カ月かけて試験衛星と地上ネットワークの機能を検証する。
アマゾンの通信衛星計画「Project Kuiper」
アマゾンは19年から「Project Kuiper(プロジェクト・カイパー)」と呼ぶインターネット衛星ネットワークの計画を進めてきた。これまでに米当局から3200基以上の衛星を段階的に打ち上げる許可を得ている。それらで構成する通信衛星ネットワークで世界中に高速ブロードバンド接続を提供する計画だ。
ロイター通信によれば、アマゾンはこのプロジェクトに総額約100億ドル(約1兆4900億円)を投じる。大量の衛星を打ち上げるため、すでに77機の大型ロケットを確保している。22年4月にはそのための契約をULAや、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏率いる米宇宙開発ベンチャーのBlue Origin(ブルー・オリジン)、フランス商業衛星大手Arianespace(アリアンスペース)と結んだ。