スペースXが作成した動画「Starlink Mission」より(出所:YouTube

(姫田 小夏:ジャーナリスト)

 4月27日、中国南部の雲南省上空で、闇夜を等間隔で一列に飛行する物体が目撃された。

 筆者は、スマホに送られてきた動画でその不思議な物体を見た。物体は光を放ちながら、画面左から右に向かって、およそ30度の上昇角度を保ちながらかなりのスピードで飛行していた。まるでSF映画に登場するUFOの編隊のようだ。動画の撮影者は「え、なにこれ・・・」と言ったきり言葉を失っていた。雲南では、多くの人が唖然として空を見上げていたという。

 その5日前の4月22日、米フロリダ州のケネディ宇宙センターから60基の人工衛星が打ち上げられた。中国・雲南省の上空を移動する物体群は、イーロン・マスク氏が率いるスペースX(エックス)社が打ち上げた衛星だった。

 スペースXは、4万2000基の衛星を打ち上げて、地球の周りに高速インターネット通信網を張り巡らす「スターリンク(Starlink)計画」を進めている。多数の衛星を低軌道で網目のように配置することで、死角のない高速データ送信網を実現しようという計画だ。4万2000基という衛星の数は、英紙「オブザーバー」によれば「人類がこれまで宇宙に打ち上げた人工衛星の5倍に相当する」という。