情報の窃取や破壊活動などのため、米国で販売される中国製の電気通信機器に、悪意のあるハードウエアまたはソフトウエアを埋め込む可能性がある――。
米政府は中国政府に対し、こうした疑念を強めている。
さらに、激しくなる米中ハイテク覇権争いの中で、中国を代表するテクノロジー企業であるファーウェイが米国による圧力の矢面に立つことになった。
ちなみに、ファーウェイは、5G関連特許件数(2019年4月時点)および通信基地局数の売上高に関するシェア(2018年)で共に世界1位である(内閣官房日本経済再生総合事務局2019年10月)。
米政府は、最初は指針により政府機関のシステムからファーウェイの通信機器を排除した。
次に、法律によってファーウェイの通信機器の政府調達を禁止した。
さらには、輸出管理規則(EAR:Export Administration Regulations)のエンティティ・リストにファーウェイを追加し、米国製品のファーウェイへの輸出を事実上禁止した。
そして最後の手段としてEARを改正し、米国の技術等を用いて製造された製品の中国への輸出を事実上禁止した。
最後の措置によりファーウェイの主要な半導体サプライヤーであるTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited)はファーウェイに対して半導体の供給ができなくなった。
TSMCとの取引が停止した場合、ファーウェイは5G(第5世代移動通信システム)の基地局などの生産に影響が出る恐れがあり、今回の制裁の影響は非常に大きいと見られる。
ところで、米国は何時からファーウェイを安全保障上の脅威と見るようになったのであろうか。