米アップルが2024年2月2日にゴーグル型端末「Vision Pro(ビジョンプロ)」を発売します。スマートフォン「iPhone」に次ぐアップルの大型商品ですが、価格は3499ドル(約50万円)からと高額です。メタバース(仮想空間)への熱狂が冷め、関連の端末市場は2年連続前年割れとなるなか、Vision Proの登場がゴーグル型端末や関連サービスの本格的な普及の起爆剤となるか注目を集めています。現実世界と仮想世界を融合させ新たな体験を創造する「XR」端末の動向について、やさしく解説します。(JBpress)
近未来のディスプレー?目や声で直感的に操作
米アップルは2023年6月の年次開発者会議でゴーグル型ヘッドマウントディスプレー(HMD)「Vision Pro(ビジョンプロ)」を世界に初めて披露しました。Vision Proは12のカメラや5つのセンサー、6つのマイクなどから周囲の状況を瞬時に処理。周囲の空間にデジタルコンテンツをいくつも重ね、インターネット検索や文書作成、テレビ電話、映画やゲームなどを楽しむことができます。コントローラーがなくても目や手の動き、声などで直感的に操作することが可能で、ネット上では「近未来が来た」などと注目を集めています。
端末に搭載された合計2300万ピクセルのマイクロ有機ELディスプレーで、迫力のある高解像度の映像や写真を見ることができるほか、端末の目を覆う部分は半透明になっており、装着していても実世界の人と互いに目を合わせてコミュニケーションを取ることができます。
アップルの最高経営責任者(CEO)であるティム・クックは「Macが私たちにパーソナルコンピューティングをもたらし、iPhoneがモバイルコンピューティングを実現したように、Apple Vision Proは私たちを空間コンピューティングの世界に導く」と語っています。アップルにとっては2015年に発売した時計型端末「Apple Watch」以来、9年ぶりの新たなカテゴリーの製品と言われており、スマートフォンなどの市場を切り開いてきたアップルの参入に世界が関心を寄せています。
2月2日以降販売する国は順次広げる予定で、年内にも日本で発売される見込みです。ただ価格は3499ドル(約50万円)と高額で一般消費者への本格的な普及までは時間がかかると見られています。