宇宙産業を日本経済の牽引役に
もちろん、JAXAと宇宙産業の関わりは、町工場との関係にとどまりません。機械・通信機器メーカーなど日本の大企業、宇宙のさまざまな事業分野に乗り出すベンチャー企業などがJAXAを媒介にしつつ、産業の裾野を大きく広げていく可能性があるのです。
日本政府が2023年6月に策定した「宇宙基本計画」は、宇宙産業を日本経済の成長産業とするため、2020年に4兆円だった市場規模を2030年代の早い時期に2倍の8兆円にするとの目標を掲げました。
また基本計画は「安全保障や宇宙科学・探査等のミッションへの実装や商業化を見据えた政策」「宇宙技術戦略にも届く技術開発の強化」など6つの基本スタンスを提示。その1つとして「宇宙開発の中核機関たるJAXAの役割・機能の強化」をうたい上げました。JAXAを産学官の結節点として位置づけ、事業を通じて民間に資金供給を続けて宇宙産業を育成していくというものです。
政府の2023年度当初予算では、6119億円の宇宙関連予算が盛り込まれました。前年度より900億円の増加です。JAXAは米国主導の有人月面探査事業「アルテミス計画」に参画していますが、この予算にはアルテミス計画関連の405億円も含まれました。