盛り上がりを見せる台湾総統選。写真は与党・民進党の候補者、頼清徳氏(写真:ロイター/アフロ)

2024年は世界的な「選挙イヤー」です。ロシア大統領選(3月)や米国大統領選(11月)など実に50カ国・地域以上で重要な選挙が行われます。その1つ、台湾の総統選が間近に迫りました。台湾のトップが誰になるのかは、中国と台湾の関係だけでなく、アジアや米中関係をはじめ国際情勢全体に大きな影響を与えます。総統選のポイントをやさしく解説します(文中敬称略)。

(杉本 りうこ:フリーランス記者/フロントラインプレス

■記事のポイント
・台湾の総統選挙は1月13日に投開票
・蔡英文総統(民進党)の後継候補が優勢だが、選挙後には議会との「ねじれ」も
・総統選の結果は中台関係、米中関係に大きな影響を与えるため世界が注視

世界が注目する台湾、総統の権限や選挙の歴史は

 台湾(中華民国)の総統は国家元首に相当し、米国の大統領などと同様に、国民による投票で直接選ばれます。総統は議院内閣制に基づく日本の首相とは異なり、議会の解散によって任期中に辞任に追い込まれることもありません。

 権限も絶大です。外交や防衛、安全保障、両岸(中台)関係、重要な経済問題が総統の専管事項であり、陸海空3軍の最高司令官も兼ねています。

 総統の任期は最長で連続2期8年です。李登輝政権下の1996年に初の総統直接選挙が実施されて以降、4人が総統を務めてきました。国民党と民進党という2大政党から交互に総統が選ばれてきたことがわかります。

(写真:台湾総統府のホームページ

 国民党は、保守政党で中国との友好的関係を志向。一方の民進党は親米のリベラル政党で、中国による台湾統一を強く警戒しています。総統任期の満了ごとに政権交代が起きた背景には、長期政権を嫌う台湾の有権者心理があると指摘されます。蔣介石率いる国民党の独裁政権を経験した台湾の人々は、どの政党であれ長期執政権となれば腐敗が起きると警戒しているようです。

野党・国民党の候補者、元警察官僚で新北市長の侯友宜氏(写真:ロイター/アフロ)

 現職の民進党・蔡英文総統は任期最終盤となった現在も、有権者から高く支持されています。それでも上記のような有権者心理などから、民進党政権が続くかどうかは流動的と言われています。