紅白歌合戦が開催されるNHKホール(写真:西村尚己/アフロ)

2023年12月31日に「第74回NHK紅白歌合戦」が放送されます。2023年は性加害問題で旧ジャニーズ事務所のタレントが44年ぶりに出場しないことも話題になっています。「国民的音楽番組」とも言われてきた「紅白歌合戦」とは、そもそもどんな歴史を持つ番組なのか、やさしく解説します。(JBpress)

「紅白歌合戦」の始まりはラジオ放送

「紅白歌合戦」は、女性歌手を紅組、男性歌手を白組とし、歌や演奏を披露して勝敗を決める音楽番組です。かつて源氏は白旗を、平家は赤旗を用いていたことから対抗試合において赤白で分ける組分けが日本には定着しており、それにならい「紅白歌合戦」と名付けられました。

「紅白歌合戦」の前身は1945年の大みそかにラジオで放送された「紅白音楽試合」。音楽番組で勝敗を競うという斬新なアイデアが好評で、「紅白歌合戦」の誕生につながったと言われています。

「紅白歌合戦」の誕生は1951年。当時は1月3日に正月のラジオ番組として始まりました。第1回の出場者は紅組、白組それぞれ7人ずつで、放送時間は1時間。第1回は「長崎の鐘」を歌った藤山一郎さんなどの白組が勝利しました。初回から人気が高く、応援電話が殺到し放送会館の電話交換台のヒューズが飛んでしまうというエピソードも残っています。ちなみに、2023年10月に始まったNHK連続テレビ小説「ブギウギ」のモデルとなった笠置シヅ子は第2回が初登場です。

 番組の人気は毎年上昇しラジオの観覧希望者が増えたことを背景に、1953年にラジオとテレビの同時放送を始めます。劇場公開を試みますが、正月はどこも劇場が埋まっていました。そこで、大みそかに空いていた日本劇場を借りることになり、これが大みそか開催の始まりになります。今でこそ年末恒例の番組になっていますが、大みそかでの放送は偶然だった、とも言えます。

 1953年にテレビ放送された第4回では、テレビ映りを意識したきらびやかな衣装で登場した紅組が初めて勝利しました。翌年の1954年には美空ひばりが初めて出場。1956年には出場歌手が前回の32組から一気に50組に拡大するなど、番組の人気はうなぎ登りでした。