(写真:共同通信社)

学生の受信料は実質タダにしたNHK、番組も若者向けを拡充

 NHKは10月から、条件に当てはまる学生の受信料をタダにした。対象は社会保険制度において被扶養者となっている学生や、年間収入が130万円以下の学生などである。大半の学生が受信料無料の恩恵に浴することになった。

 NHKの若者優遇は学生の受信料無料に留まらない。番組においても特別扱いを受けている。2022年4月より平日午後10時45分から同11時半までを「若年層ターゲットゾーン」と銘打ち、連続ドラマ『ミワさんなりすます』(月~木曜10時45分)やお笑い芸人の田村淳(49)がMCを務める『超多様性トークショー!なれそめ』(月曜午後11時)などのバラエティを放送している。

 2000年の平日午後11時台はどうだったのか。同2月1日放送は35分間の『ニュース11』を放送したあと、さらにニュース解説『あすを読む』を10分間流していた。この20余年でNHKは全く別の放送局になってしまったかのようだ。

「若年層ターゲットゾーン」には低視聴率番組が並ぶ。連ドラ『ミワさんなりすます』の10月23日放送分の個人視聴率は1.3%(世帯視聴率2.8%)。どちらの数字も同時間帯で6局中5位だ。連ドラに続く『超多様性トークショー!なれそめ』は個人1.0%(世帯2.1%)。個人も世帯もやっぱり5位である。

 もっとも、NHKの狙いは「若年層」だから、コア視聴率(13~49歳に限定した個人視聴率)が獲れればいい。ところが、これも『ミワさんなりすます』が0.5%で5位、『超多様性トークショー!なれそめ』も0.4%で5位なのである。民放ならスポンサーが黙ってはいない。