上杉景勝と直江兼続の主従像上杉景勝と直江兼続の主従像(写真:SHOHO IMAI/a.collectionRF/アマナイメージズ/共同通信イメージズ

 NHK大河ドラマ『どうする家康』で、新しい歴史解釈を取り入れながらの演出が話題になっている。第41回「逆襲の三成」では、徳川家康は大坂城・西ノ丸に入ると、内府(「内大臣」の唐名)として政務を取り仕切るようになる。家康の台頭を豊臣家存続の危機とみた石田三成は、ついに立ち上がることを決意して……。今回の見所について、『なにかと人間くさい徳川将軍』の著者で偉人研究家の真山知幸氏が解説する。(JBpress編集部)

前田利家の死で政権内部の闘争が本格化

『どうする家康』の放送回数は「全48回」となることが、番組公式サイトに掲載された。最終回は12月17日となる。今回の放送は第41回のため、残すところあと7回だ。本連載では、第1回の放送回から並走して解説を書き続けてきたので寂しい限りだが、クライマックスまでドラマとともに、お付き合いいただけたらうれしく思う。

 さて、前回は豊臣秀吉の死後、五大老(徳川家康・前田利家・毛利輝元・宇喜多秀家・上杉景勝)と五奉行(浅野長政・石田三成・増田長盛・長束正家・前田玄以)による新体制で政治が行われるようになるが、足並みがそろわずに頓挫。中村七之助演じる石田三成が、政権の運営に苦慮する姿が印象的だった。

 慶長4(1599)年閏3月、五大老の一人である前田利家が命を落とすと、政権内部の闘争が本格化していく。

 というのも、利家は秀吉とは友人で、織田信長のもとで長く仕えたベテランだ。家康のことも幼いときから知っている。ドラマでは、宅麻伸演じる前田利家が家康の行動に理解を示しつつ、病床でかつての「泣き虫プリンス」を激励した。

「貴公は強くなりすぎた。家康殿、貴公は腹をくくるしかないかもしれん」

 そして利家が死去した翌日、さっそく事件が起きる。加藤清正、福島正則など豊臣系の7武将が石田三成を襲撃。殺害を目論むという騒動が勃発する。家康が仲介に入って、三成は居城の佐和山で謹慎することとなった。