飾りのように軽くなる「スペシャル」という言葉
激増している特番に対して、視聴者が慣れてしまって、スペシャル感を抱いていないのではないかと、私は懸念しています。「スペシャル」という言葉そのものが飾りのように軽くなっていて、2時間や3時間の長時間の番組を「スペシャル!」と言っているだけという印象になっていないでしょうか。
旅、散歩、グルメ、おしゃべりで展開する特番が多いと思います。「また同じようなことをやっている」という倦怠感はテレビ視聴からの離脱を招きかねません。
若者世代を中心にテレビ視聴に惹き付けたい、視聴率競争で優位に立ちたい・・・そんな理想に対して、番組制作費の削減という厳しい現実があります。スポンサーが必ずしも支持していない特番が今後ますます増えていくのかどうか、引き続き視聴率競争で有効であり続けるのか、各局の動向を注視したいと思います。
岡部 隆明(おかべ・たかあき)
1991年、早稲田大学政治経済学部卒業。同年、テレビ朝日に入社。報道局ニュースセンターで夕方ニュース番組ディレクター。政治記者として「55年体制」の終焉から細川政権樹立、その後の自社さ政権まで取材。また、経済記者としてバブル経済崩壊後の金融問題を取材した。営業局を経て人事局に異動、2013年から7年間人事部長を務める。2021年に退職、独立した。
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