「インテル・ショック」に米株式市場は揺れた(写真:Muhammad Alimaki/Shutterstock)

米国の世界的な半導体メーカー、インテルの業績不振が波紋を広げています。2024年8月1日に発表された4〜6月期決算は2期連続の赤字。これに伴って大幅な人員削減や配当停止を発表すると、他のハイテク企業についても業績を不安視する動きが広がり、米株式市場で大幅な株安を招く要因となったのです。米国の景気を引っ張ってきた名門ハイテク企業の業績不安は「インテル・ショック」と呼ばれるようになりました。いったい、インテルに何が起きているのでしょうか。米国経済の状況も交えながら、やさしく解説します。

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「インテル、入ってる」は過去の栄光

 8月1日にインテルが公表した4〜6月期の決算と合理化策は、米国市場を大きく揺さぶりました。

 最終損益は16億1000万ドル(約2400億円)の赤字でした。最終赤字は2四半期連続のこと。1年前の2023年の4〜6月が14億8100万ドルの黒字だったことを考えると、損益の急速な悪化は明らかです。

 売上高も伸び悩み、この4〜6月期は前年同期比1%減の128億3300万ドルに過ぎず、7〜9月期の売上高見通しも市場予測を大きく下回る125億〜135億ドルにとどまりました。

 通期の売上高を比較すると、2023年3月期は3年前の3割減。大幅な落ち込みというほかはありません。

 決算と同時に発表された合理化計画も経営の厳しさを示すものでした。2025年までにコストを100億ドル削減する方針を表明。その一環として2024年中に全従業員の15%に当たる1万5000人を解雇することを明らかにしたのです。

 決算発表を受け、翌8月2日の米ニューヨーク株式場ではインテル株の売りが相次ぎました。同社株の終値は前日比で26%も下落。時価総額はその4分の1が吹っ飛び、1000億ドル(約14兆6000億円)を割り込みました。米CNBCの報道によると、1971年の上場以来、史上2番目の下げ幅で、落ち込みの大きさは約50年ぶりだったそうです。

 インテルは中央演算処理装置(CPU,MPU)やフラッシュメモリ、チップセットなどの開発・製造・販売を手掛け、この分野で世界最大の企業としてIT業界をリードしてきました。インテルの名前は日本でもおなじみです。

 同社の製品を内蔵したパソコンには「Intel inside(インテル、入ってる)」というロゴが貼られ、IT機器の浸透とともにインテルの名は多くのユーザーに知られるようになりました。

 その名門企業に何が起きているのでしょうか。