米半導体大手のエヌビディアの時価総額が6月18日、世界首位に躍り出ました。生成AI(人工知能)の基盤となる半導体を手がけるエヌビディアの躍進は止まらず、世界の株式市場を牽引しています。今月は米アップルも自社開発の生成AIを新たに発表しました。生成AIの普及が急速に進むなか、基盤となる半導体産業には国をあげて支援に乗り出しています。今回は世界の株式市場を大きく突き動かす「半導体株」について解説します。
(河端 里咲:フリーランス記者)
■エヌビディア株だけじゃない“生成AI祭り”
(1)【電力株に生成AIのインパクト】北海道電力は年初来2倍超、九州電力7割高…電力需要拡大や半導体工場建設が追い風に
(2)【データセンター株も生成AI祭り】さくらネットは年初来2倍超、冷却設備関連も上昇…シャープ堺工場は液晶から転換
(3)【生成AI祭りの半導体株】エヌビディアが時価総額世界首位、英アームは年初来2倍、TSMC6割高…巨額補助金も追い風
エヌビディアの時価総額が世界首位に
米半導体大手エヌビディアの時価総額が世界で首位に躍り出ました。6月5日には米アップルを上回り世界2位に浮上、その後18日に時価総額が3兆3350億ドル(約526兆円)に達し、首位だった米マイクロソフトを上回りました。
エヌビディアが5月下旬に発表した2024年2〜4月期の決算では純利益が148億ドルと前年同期の7.3倍に急拡大。大量のデータを用いた複雑な処理が可能な画像処理半導体(GPU)など生成AIの開発に不可欠なAI半導体の需要拡大が利益を押し上げています。
昨年からうなぎのぼりに上昇するエヌビディアを中核に、半導体や生成AI関連の株価上昇を市場では「エヌビディア祭り」と表現されています。
エヌビディアは1993年4月、ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)などが「ゲームとマルチメディア市場に3Dグラフィックスをもたらす」とのビジョンのもと設立。1999年にはGPUを発売。当初はゲーム市場向けが中心でしたが、その後AI向けのGPUの需要を開拓してきました。
6月上旬に台湾で開かれたアジア最大規模のICT見本市「台北国際コンピュータ見本市」に合わせ、エヌビディアは25年に「ブラックウェルUltra(ウルトラ)」、26年に「Rubin(ルービン)」と呼ぶAI半導体の新しい製品群を投入すると発表。すでにAI半導体でエヌビディアは約8割のシェアを持つと言われていますが、さらにエヌビディアの存在感が高まる可能性があります。
では、エヌビディア以外の半導体銘柄の状況はどうでしょうか。