東京湾大華火祭は2015年で見納めに(写真:AP/アフロ)

夏を彩る花火大会に異変が起きています。2024年8月8日に発生した宮崎県日向灘沖の地震に伴って「南海トラフ地震臨時情報・巨大地震注意」が出されたため、万が一のときに備えて花火大会の中止が相次いでいるのです。しかし、この地震の前から各地の花火大会では中止や縮小の動きが出ていました。予算が足りない、寄付が集まらない、警備の人手が足りない、花火の燃え殻が迷惑……。過疎化が進む地方では、夏祭りの存続そのものが危ぶまれているケースもあります。夏の風物詩・花火大会に何が起きているのでしょうか。やさしく解説します。

フロントラインプレス

※情報は8月11日時点

「巨大地震注意」で中止・延期へ

「巨大地震注意」の情報が出た後、南海トラフ沿いの地域では海水浴場の一時閉鎖やイベントの中止が相次いでいます。花火大会も同様。気象庁は「巨大地震注意」を出した際、8月8日の地震発生から1週間程度の注意が必要としています。そのため、この期間に予定されていた花火大会も次々と中止・延期になっているのです。

 10日に予定されていた宮崎県小林市の「第45回小林市すき納涼花火大会」は地震翌日の9日に中止を決定。毎年約1万人が集まる、地域に欠かせない催しでしたが、安全性を第一に考えて中止しました。三重県では、「夏の鳥羽湾連続花火」のうち、9日と10日に予定されていた小浜湾での打ち上げを取りやめました。

図:フロントラインプレス作成

 駿河湾に面する静岡県では、伊東市の「按針祭」にちなんだイベントのうち、9日の小規模な花火大会が中止になりました。当日夕、隣接する神奈川県西部を震源とする最大震度5弱の地震が発生したためです。メーンとなる10日の花火大会は実施されたものの、主催者は会場で避難経路を示したマップを用意。ネット上でもハザードマップで避難経路を確認してから来場するよう呼びかけました。

 同じ静岡県の焼津市では、14日に予定されていた「第49回焼津海上花火大会」は、巨大地震注意が出ているためとして延期になりました。ただ、注意すべき期間が1週間とされているため、主催者側は15日も含めて開催時期を検討しています。焼津の花火大会も毎年20万人を集める大イベント。大勢の人が楽しみにしているだけでなく、周辺の宿泊施設や飲食店にとっても影響は大きいため、簡単に「中止」とするわけにはいかないのでしょう。

 一方、紀伊半島の白浜海岸では、10日に予定されていた「南紀白浜花火フェスタ」が中止になりました。白浜海岸は美しい砂浜で知られる、関西屈指のビーチリゾート。海を楽しむだけでなく、花火大会にも毎年7万人超の人が詰めかけています。ところが、この夏は海水浴場も閉鎖になり、地元の観光産業に大きな影響を与える可能性が出ています。