開催費用の高騰で相次ぎ中止に
東京湾大華火大会が最後に開催された2015 年、開催費用は4億2800万円でした。しかし、東京オリンピック後の2022年に中央区が試算したところ、開催費用はその2倍、約8億円になることがわかったのです。
大きかったのは、人手不足による警備員の単価上昇。自主警備費は2億2000万円増加して4億円を突破する見込みになりました。管理費も2億円近くにまで膨らむと試算。クラウドファンディング有料観覧席の増大なども検討したようですが、中央区として再開を決断するには至りませんでした。
開催費用の高騰はどの地域でも深刻です。
埼玉県草加市では、市の補助金や地元企業の協賛金などにより、毎年約1700万円の予算で実施してきました。しかし、警備費や物価上昇に伴う花火費がこれまでより2〜3割も増加。その差を埋めることができず、今年の開催を見送りました。
同じ埼玉県の入間市も費用負担のめどがつかず、中止に。同様の理由で花火大会を中止したり、規模を縮小したりするケースは全国で相次いでいます。
金銭負担の増加だけでなく、地元で花火大会を担う人材と人手の不足も深刻になりつつあります。
江戸時代からの伝統を持つ浜松市天竜区の「鹿島の花火」は、花火の豪快な破裂音が山々に響く独特の大会です。天竜川の河川敷には100を超える露天が軒を並べ、地域の風物詩として毎年10万人の観客を楽しませていました。
コロナ禍を経た2023年に規模を縮小して4年ぶりに再開しましたが、この夏は開催できませんでした。理由は、運営を担う地元観光協会会員の高齢化です。昨夏はボランティアも含めて約15人で乗り切ったものの、企画段階などでの負担が極めて重く、「このままでは継続できない」という結論に達したのです。
観光協会は存続に向けた検討会を発足させますが、長い伝統を持つ催しが維持できなくかるかもしれません。