金メダル3つ、銅メダル1つを獲得した岡慎之助選手(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

日本中を沸かせたパリ五輪が閉幕しました。日本選手が獲得したメダルは金20、銀12、銅13。金の数は米国、中国に次いで3位、メダル総数も6位という大活躍でした。メダルが全てではないにしても、世界のトップアスリートに伍して競い合う選手の姿は日本中を大いに沸かせました。ところで、メダルを獲得した選手らへの「報奨金」は、どうなっているのでしょうか。そもそも五輪選手への報奨金はなぜ、いつから始まったのでしょうか。五輪の歴史をひも解きながら、やさしく解説します。

フロントラインプレス

体操3冠の岡選手に総額1770万円

 パリ五輪で「体操ニッポン」の伝統を引き継ぎ、大活躍したのが岡慎之助選手(20歳、徳洲会)です。個人総合、鉄棒、団体総合の3種目で金メダルという3冠を達成しました。3冠は1972年のミュンヘン五輪(西ドイツ)で活躍した加藤沢男選手以来という快挙。岡選手はさらに平行棒でも銅メダルを獲得し、合計4つのメダルを手にしました。

 この成績をたたえ、岡選手には日本オリンピック委員会(JOC)から1600万円、日本体操協会から170万円、総額で1770万円の報奨金が出ることになりました。帰国後の記者会見でその使い道を問われた岡選手は「練習の道具だったり、疲労回復のために使ったりしたい。自分はサウナが好きなので、個室サウナにも行ってみたい」と語りました。

図:フロントラインプレス作成
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 では、岡選手のような五輪メダリストへの報奨金は、どのような形になっているのでしょうか。

 報奨金は大きくわけて3種類あります。

 代表的なものがJOCの報奨金です。金額は規定で定められており、「金」500万円、「銀」200万円、「銅」100万円。金は2016年のリオデジャネイロ大会の際、それまでの300万円から500万円に引き上げられました。それ以来、メダリストの報奨金はこの金額が維持されています。

 パラリンピック大会のメダリストに対しては、JOCではなく、日本障がい者スポーツ協会(JPSA)が報奨金を支給します。金はJOCより200万円安い300万円ですが、それ以下は同じ。銀200万円、銅100万円と定められています。

 パリ五輪では日本選手が大活躍し、メダルラッシュになりました。JOCからの報奨金は総額でいくらになるのでしょうか。団体競技の場合は一人ひとりに報奨金が贈られ、2種目以上を制覇した選手には種目ごとの報奨金が合算されます。パリ五輪の場合、単純計算で報奨金の総額は2億5000万円程度になる見通しです。

 前回2020年の東京五輪(コロナ禍のため実際の開催は2021年)では、日本選手は金27、銀14、銅17のメダルを獲得しました。このときの報奨金は、総額4億4400万円。いずれも金を獲得した野球(24選手)やソフトボール(15選手)などが総額を押し上げた格好でした。