東京2020五輪において卓球女子団体で優勝した中国チーム(写真:ロイター=共同)
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(譚 璐美:作家)

 パリ・オリンピックの幕が切って落とされた。7月26日から8月11日まで、2024年のパリ・オリンピックは二週間にわたって開催されるが、直前に報道された中国選手の過去のドーピング疑惑が完全に払拭されたわけではない。

 ニューヨーク・タイムズなどの報道によると、2012年の東京オリンピックで、直前に行われたドーピング検査で、中国の競泳選手23人から禁止薬物の陽性反応が出ていたにもかかわらず、オリンピックに参加していたことが判明。世界反ドーピング機構(WADA)が黙認したことにも疑念がもたれた。しかも今年のパリ・オリンピックに、当時、陽性反応を示した23人のうち11人が参加していることも分かった。

 これに対して、WADAは7月9日、当時の対応に不備はなかったとの中間報告を発表した。

 世界水連のフセイン・ムサラム会長は7月25日、パリで記者会見を行い、当時の世界水連の対応に不正はなかったと強調し、「専門家を雇って調査し、報告書を示した。やれるだけのことをやった」として、再調査は行わない意向を示した。また、今回のパリ・オリンピックに向けて、「前例のない回数」のドーピング検査を行ったとして、「われわれの仕事に自信を持っている」とも述べた。

 世界水連によると、疑惑がもたれている中国の競泳代表には今年1月から現在まで平均21回のドーピング検査を実施したという。米国勢は同期間に平均6回、日本勢は同4回だった。(産経新聞、7月26日付)

水谷隼・伊藤美誠ペアに阻止されたアテネ以来の「卓球で金メダル独占」の記録

 中国はドーピング疑惑をものともせず、7月13日、北京でパリ・オリンピックに向けた中国代表団の結団式が行われ、意気盛んな様子が官制メディアの「新華社」で報じられた。中国が最も重視する競技は卓球と飛び込みで、「全種目の金メダル独占」を目標に掲げているという。(「ボイス・オブ・アメリカ」、2024年7月14日付)

 卓球は、2021年の東京オリンピックで、中国卓球チームの混合ダブルスが日本チームに敗れ、2004年のアテネ・オリンピック以来、金メダルを独占してきた記録が途絶えたことから、今年のパリ・オリンピックでは巻き返しを図ろうと躍起になっている。