花火の「燃え殻」、太陽光パネルに損害与える懸念
各地で相次ぐ花火大会の中止。そこには、花火大会そのものが迷惑だという住民らからの“苦情”も横たわっています。
徳島県鳴門市の納涼花火大会を中止させたのは、コロナ禍での中止期間を経て4年ぶりに開かれた昨年の大会後に住民から寄せられた「花火の燃え殻が屋根に落ちてくる」「燃え殻でマイカーに傷がつく」といった苦情でした。
主催者は苦情を受け、車の汚れを無償で拭き取るなどしましたが、打ち上げ場所を変更するなどしない限り、また同じ事態を招く可能性があると判断。この夏は中止し、2025年以降は場所の変更も含めて再検討することにしました。
打ち上げ会場周辺の住宅などには、屋根にソーラーパネルを設置する住宅も増えています。仮にパネルに損顔を与えた場合、主催には大きな賠償責任が生じかねないことも中止の判断の背景にあったようです。
“燃え殻被害”を考慮しての中止は、千葉県船橋市の「船橋港親水公園花火大会」も同じです。4年ぶりに実施された昨年は約6万人の観客で賑わいましたが、港に係留されていたクルーザーなどに燃え殻が落ち、1000万円超の被害が出たということです。船橋市は場所を移しての実施を検討しましたが、警備計画の立案に時間がかかることなどからこの夏の開催を断念しました。
一方、雑踏での事故を恐れて断念したケースもあります。
愛知県春日井市は毎年夏に開いていた納涼まつりでの花火大会を「身動きできないほどの混雑が出ている」ことから中止しました。2022年秋に起きたソウル・梨泰院(イテウォン)での雑踏事故。そこから教訓を得ようと、昨年の花火大会で定点カメラなどを使って混雑の様子を確認したところ、梨泰院事故時以上の雑踏が生じていたことがわかったそうです。
大都市・名古屋の近郊とあって、春日井市の花火大会には20万人近い人が訪れていました。石黒直樹市長は「春日井の花火大会は内陸型。ほかの花火大会のように川べりや海沿いとは違う。イベントより人命第一」と説明しています。