「みんなで渡れば怖くない」になってはいけない

赤信号 みんなで渡れば 怖くない

 ビートたけし氏がコンビを組んでいたツービートの有名なギャグです。解説するのは無粋ですが、「集団ならば、禁じられていることや危ういことでも容易にできて、開き直ることさえ許される」といった意味です。

 消費者金融の巨人戦スポンサーの解禁は、民放各局、ほぼ横並びで同様の判断をしました。まさに、「みんなで渡れば怖くない」状態だったことをよく覚えています。

 先述したドラマ仕立てのCMは「放送局、広告会社、スポンサーの三位一体」によるものと指摘しましたが、消費者金融会社の件も、その三位一体の構図、三者がメリットを享受するwin-win-winの関係性は似ています。CMの受け手である視聴者(消費者)もwinであるべきですが、メリットの輪に加わっていない感じがします。

 民放各局の経営基盤は広告収入、つまり、CMを放送することに大きく依存しています。したがって、CMを軽視してはならないことを新入社員の段階から叩き込まれます。そんな背景もあって、どうしてもスポンサー寄りの思考回路になりがちです。

 テレビ離れが進む中で、スポンサー獲得がより厳しくなっていく傾向があります。だからと言って、企業審査やCM考査が甘くなることはあってはなりません。CMは放送の一部であり、影響力の大きさを十分に考慮する必要があります。視聴者の存在を軽く見るような放送は、テレビへの信頼を損ねるリスクがあると言えます。