「存続」を選ぶなら…ローカル線が取り得る2つの打ち手(JBpress編集部作成)

◎シリーズ1回目はこちら:「地域鉄道の96%が赤字…コロナ後のローカル線にいったい何が起きているのか?」

(土井勉:一般社団法人グローカル交流推進機構 理事長)

廃線がもたらす“見捨てられた”という感覚

1.ローカル線存廃問題は移動の問題だけではない

 前回の記事でも触れた、23道県知事から国土交通大臣に出された「地方の鉄道ネットワークを守る緊急提言」(2021年8月)。

「地方の鉄道ネットワークを守る緊急提言」(広島県HPより)

 この提言は「ローカル線を含めた鉄道ネットワークは、地域にとって必要であるだけでなく、国としても、災害時の移動手段の代替性・補完性の確保など、わが国の交通政策の根幹として考えるべき課題」と指摘しており、必ずしも移動の手段としての鉄道存続を意識しているのではないように考えられる。

 鉄道が存在しているということは、全国の各地と線路でつながっていることであり、自分たちの地域と他の地域のつながりが可視化されることになる。

 国土地理院の地図にも鉄道は線路と駅がランドマークとして記載されている。こうした可視化された「他の地域とのつながり」が鉄道の廃線によって消えてしまうと、地域が急に孤立したように感じられることは容易に想像ができる。

 いわば“見捨てられた地域”になるように感じる人も少なくない。