近江鉄道の上下分離方式への移行を祝う出発式には、滋賀県や沿線市町の首長のほか斉藤鉄夫国土交通相(中央左)も参加した=2024年04月06日、滋賀県米原市(写真:時事)近江鉄道の上下分離方式への移行を祝う出発式には、滋賀県や沿線市町の首長のほか斉藤鉄夫国土交通相(中央左)も参加した=2024年04月06日、滋賀県米原市(写真:時事)
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(土井勉:一般社団法人グローカル交流推進機構 理事長)

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2024年4月、新たな仕組みで運行開始

1.上下分離はゴールではなくスタート

 いよいよ2024年4月1日から、近江鉄道線は上下分離で運行を開始することになった。これまでの道のりを思い出すと、やっとここまでたどり着いたのかと、感慨が深いものがある。

 ただ、上下分離の実現は未来の近江鉄道線から見れば、新たな仕組みで運行を進めるスタートであり、決してゴールではない。

 本連載では、これまで近江鉄道線において、主に利用促進の可能性や潜在能力の掘り起こしの面を中心に扱ってきた。これは、近江鉄道線が上下分離をしても、それだけの意義がある鉄道だということを共有するためであった。

 これと同時に、上下分離方式を実現するためには諸々の法制度に関する手続きなどのハードルも越えなければならない。鉄道事業を行う際には国土交通大臣の許可を得る必要がある。そのため、みんなで決めたから、明日からは上下分離だ、ということにはならない。

 ここでは、主に法制度に関する内容をわかりやすく紹介することで、全国各地でローカル鉄道の再生に取り組んでいる人たちに参考になれば、ということで書かせていただくことにしたい。